【自動点呼とは?】運送業の自動点呼管理

運行管理者の負担軽減や、点呼の品質向上のために運用が開始された自動点呼。本記事では、2023年1月より運用が開始され普及が進む「業務後自動点呼」に加え、2025年4月の点呼告示改正により正式に制度化(解禁)された「業務前自動点呼」の両方の概要やメリット、導入の条件について、最新の動向を踏まえて詳しく解説します。

目次

そもそも点呼管理とは?

運送業における点呼管理は、運行中の安全を確保するために法令で義務付けられた、極めて重要な業務です。適切な点呼管理を通じて事故防止を図ることで、運転者や周囲の人々の安全を守ることができます。ここでは、点呼管理の基本的な目的や種類、実施方法について詳しく解説していきます。

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点呼の目的と重要性

点呼は、運行管理者やその補助者が運転者に対して実施する確認作業で、その目的は「安全運行の徹底」にあります。具体的には、運転者の健康状態や疲労度、酒気帯びの有無を確認し、安全運転のための指示を適切に伝えることで、運転者が安全に業務を遂行できる環境を整えます。また、車両の状態や運行状況を事前に把握することで、事故リスクを大幅に低減させます。

点呼の種類(乗務前・乗務後・中間点呼)と実施タイミング

点呼は業務のタイミングごとにいくつかの種類があります。タイミングによって確認すべき内容が異なるため、目的に沿った的確な点呼が必要です。

  • 乗務前点呼:運転者が業務に入る前に実施し、健康状態や酒気帯びの確認、運行経路に関する指示を伝えます。特に疲労度や体調のチェックは事故防止の要です。
  • 乗務後点呼:乗務終了後に実施するもので、運行中の道路状況や車両の異常、事故発生の有無などを確認します。また、酒気帯びの確認も行い、次回の運行に向けた準備を整えます。
  • 中間点呼:長距離運行などで、途中に必要とされる場合の点呼です。対面が難しい場合には電話やIT機器を活用し、遠隔で運転者の状態を確認します。

法令違反に対する厳しい罰則

点呼の未実施や不適切な実施は、法令違反として厳しい処分の対象となります。もし違反があった場合、文書警告や車両の使用停止命令、さらには事業停止や許可取消といった重い行政処分を受ける可能性があるため、いかなる状況でも確実な点呼実施が求められます。点呼管理は運送業者にとって「安全運行」を支える根幹の業務なのです。

点呼管理を効率化するにはIT化が鍵

運送業において点呼管理の効率化を図るためには、IT技術や自動化システムの導入が極めて効果的です。ITシステムでは、ビデオ通話機能を使った「IT点呼」によって遠隔からでも確実な点呼が可能になり、長距離運行や深夜・早朝の対応負担が軽減されます。
さらに近年では、システムが運行管理者の代わりに点呼作業を行う「自動点呼」の導入が進んでおり、アナログな手書き作業からの脱却や、業務の大幅な省力化に大きく貢献しています。

自動点呼とは?「業務前」と「業務後」の最新動向を解説

自動点呼とは、これまで運行管理者が対面で行っていたドライバーへの点呼作業を、専用のシステムやロボットが代行する仕組みのことです。点呼では、ドライバーの酒気・疾病・疲労の確認や、運行経路・安全上の注意事項の指示などを行います。
運送業では原則「対面での点呼」が義務付けられていますが、長時間労働の是正や運行管理者の負担軽減を目的として、国土交通省による法改正が進み、現在では「業務後」だけでなく「業務前」の自動点呼も解禁されています。

【2023年1月解禁】業務後自動点呼(乗務後自動点呼)の概要

業務後(乗務後)自動点呼は、2023年1月より正式に運用が開始されました。
乗務を終えたドライバーが営業所に戻った際、運行管理者の立ち会いなしで、システムを通じてアルコールチェックや車両状態の報告を完了させることができます。すでに多くの運送事業所で導入が進んでおり、夜間や休日における運行管理者の待機時間を削減する有効な手段として定着しています。

【2025年4月解禁】業務前自動点呼(乗務前自動点呼)の概要と最新事情

より厳密な安全確認が求められるため、長らく実証実験の段階にあった業務前(乗務前)自動点呼ですが、2025年4月30日の国土交通省の告示改正により、法令上「対面点呼と同等」と位置付けられ正式に解禁されました。
さらに、2025年8月には国土交通省が定める厳格な基準をクリアした「業務前自動点呼専用の認定機器」が複数承認されたことで、現在では事業者による実運用がスタートしています。これにより、深夜・早朝の出発時における運行管理者の立ち会い負担が劇的に解消されることになります。

業務前自動点呼と業務後自動点呼の主な違い

同じ自動点呼でも、業務前と業務後ではシステムに求められる「確認項目の多さ」と「機器の要件」に決定的な違いがあります。

項目 業務後(乗務後)自動点呼 業務前(乗務前)自動点呼
主な目的 運行完了の報告、事後チェック 出発前の安全確保、健康状態の精査
主な確認内容 アルコール検知、車両・道路の異常報告 アルコール検知、体温・血圧、睡眠不足・疲労状況、免許証確認、日常点検報告
求められる機器機能 生体認証(顔認証等)、アルコール検知器連動 上記に加え、血圧計・体温計との連動が必要

業務前自動点呼は「これから運転するドライバーが安全に業務を行えるか」を判断する極めて重要なプロセスです。そのため、業務後点呼のシステム要件に加えて、血圧計や体温計を用いたバイタルデータの自動取得が義務付けられており、より精度の高い高度なシステム導入が必要となります。

業務前・業務後自動点呼システムを導入するメリット

運行管理者の業務負担軽減

最大のメリットは、運行管理者の労働環境が劇的に改善される点です。運送業の特性上、早朝の出発(業務前点呼)や深夜の帰庫(業務後点呼)に合わせて管理者が事業所に待機しなければならず、長時間の拘束や不規則な勤務が常態化しやすい課題がありました。
自動点呼を導入すれば、ドライバー自身の操作で点呼を完結できるため、管理者の早朝・深夜出勤を大幅に削減できます。削減できた時間を他のコア業務やドライバー教育に充てることで、会社全体の生産性向上や働き方改革にも直結します。

アナログ管理からの脱却と人的ミスの防止

人が行う対面点呼では、「確認項目の抜け漏れ」や「記録簿への記入ミス」といったヒューマンエラーを完全に防ぐことは困難です。
システム化することで、画面の指示に従って測定・確認を行わないと点呼が完了しない仕組みを作ることができます。アルコール検知器での測定漏れや、本人確認(なりすまし)の不正をシステムが物理的にブロックするため、より確実で抜けのないコンプライアンス遵守が可能になります。

点呼記録のデジタル保存で保管・分析がスムーズに

自動点呼で取得したデータは、クラウド上やシステム内にデジタルデータとして自動で記録・保存されます。手書きの点呼記録簿を日々ファイリングし、膨大な保管スペースを用意する必要はありません。
また、監査が行われる際や万が一のトラブル発生時にも、過去のデータを日付やドライバー名ですぐに検索・抽出できるため、管理業務の手間が大きく省けます。

自動点呼導入におけるデメリット・注意点

国交省認定機器の導入コスト

自動点呼を実施するには、国土交通省の認定を受けた専用の「点呼支援機器」を導入することが義務付けられています。これには、専用機器の購入や監視カメラの設置にかかる初期費用のほか、クラウドシステムの月額利用料といった運用コストが発生します。
特に「業務前自動点呼」を行う場合は、体温計や血圧計といったバイタル測定機器の連動も必須となるため、業務後のみのシステムと比較して費用が高くなる傾向があります。

システム導入に伴う社内教育・運用ルールの整備

新しいシステムを導入した直後は、現場のドライバーが操作に戸惑う可能性があります。IT機器の扱いに不慣れな従業員がスムーズに点呼を行えるよう、丁寧な研修やわかりやすいマニュアルの準備が必要です。
また、点呼作業自体は自動化されますが、「アルコール反応が出た場合」や「血圧が高く健康状態に懸念がある場合」「機器が通信エラーを起こした場合」などには、即座に運行管理者が直接対応・判断する体制を残しておく必要があります。「完全な無人化」ではなく、あくまで「業務の効率化」であることを念頭に置いた社内ルールの整備が求められます。

業務前・業務後自動点呼の導入条件・必須要件

自動点呼を運用するためには、単にシステムを購入するだけでなく、国土交通省が定める厳格な条件をクリアし、管轄の運輸支局へ届出を行う必要があります。「業務後」と「業務前」で求められる機器の要件が異なるため、しっかりと確認しておきましょう。

業務後自動点呼に必要な条件・施設要件

  • 認定機器の使用:国土交通省から認定を受けた、有効期間内の「点呼支援機器(自動点呼システム)」を使用すること。
  • 監視カメラの設置:なりすましやアルコール検知器の不正利用を防ぐため、点呼場所には運転者の「全身」および「アルコール検知器を使用している様子」が明瞭に確認できる監視カメラを設置すること。
  • システムでの生体認証機能:顔認証などの生体認証により、確実な本人確認が行えること。
  • 運用体制の整備と事前の届出:機器の故障やアルコール検知などのトラブル時に、運行管理者が速やかに対応できる体制(連絡網など)を整え、事前に「乗務後自動点呼の実施に係る届出書」を提出すること。

業務前自動点呼に必要な条件(バイタルチェック・生体認証など)

2025年4月に解禁された業務前(乗務前)自動点呼では、出発前の安全を完全に担保するため、上記の「業務後の条件」に加えて健康状態や適格性の精査に関する厳しい要件が追加されています。

  • バイタル測定機器との自動連動:アルコールチェックに加え、血圧計および体温計をシステムと連動させ、測定結果を自動で記録・判定できること。
  • 運転免許証の確認機能:IC免許証リーダー等を活用し、免許証の携帯確認や有効期限切れをシステムで自動検知できること。
  • 疲労や睡眠不足の確認・判定機能:ドライバーの睡眠時間や疾病、疲労の状況を画面上で申告させ、異常がないかをシステムが確認できること。
  • 乗務可否の自動判定と管理者への通知:測定値や申告内容に異常(アルコール検知、血圧異常、免許証忘れなど)があった場合、システムが即座に「乗務不可」と判定し、運行管理者へアラート(通知)を飛ばす仕組みがあること。

自動点呼システムの導入事例

大手運送会社の自動点呼システム導入事例

某大手運送会社では、従来の点呼作業にかかる時間や手間を解決するため、自動点呼システムを導入しました。これにより、運送ドライバーの待ち時間を短縮し、効率的な運行が可能になりました。

自動点呼システムによって点呼データの読み取りや更新が完全に自動化され、人為的なミスが大きく減少しました。これまで手動で行っていた作業がシステムにより正確かつ迅速に処理されるため、必要な情報をすぐに確認できるようになりました。また、点呼対応にかかる時間も大幅に短縮され、運行管理の効率が向上しています。

このシステムは、労働管理にも良い影響を与えており、ドライバーの業務負担を軽減することで、業務の品質向上とコンプライアンス遵守の強化にも貢献しています。

参照元:テレ西ビジネスサイト(https://www.tele-nishi.co.jp/biz/ittenko/case/?utm_source=chatgpt.com

大手バス会社における導入事例

某大手バス会社では、自動点呼システムの導入により、コンプライアンス違反の削減に成功しています。なかでも、点呼の流れを自動化することで、運送ドライバーの業務負担が軽減され、不満解消にもつながっています。また、実際の導入では、点呼作業の実施タイミングが高速化され、全体のオペレーション効率が向上しました。

導入作業は日々の運送運営を安定化させる目的で進められており、事故の防止や労務管理の仕組みを強化することで、これまで導入が困難だったケースにも対応できるようになっています。

参照元:ITECS(https://www.itecs.co.jp/casestudy/jrbus-rollcall/?utm_source=chatgpt.com

運送会社のIoT自動点呼導入

某運送会社では、自動点呼システムの導入によって作業効率の向上が達成されています。この導入事例では、ドライバーの労働時間が短縮され、運行管理がスムーズになりました。さらに、システムの導入が現場の抵抗感を減少させ、運行の透明性と効率性を高めました。

これにより、コンプライアンス遵守が強化され、ドライバーや管理者の業務に対する不満も軽減されました。組織全体の業務改善が進み、生産性の向上に貢献しています。

参照元:株式会社コア公式HP(https://www.core.co.jp/coresapproach/usecase/iot/daiwa?utm_source=chatgpt.com

自動点呼導入による運用の省人化

自動点呼システムを導入し、業務前後の自動点呼運用を開始。これにより、夜間点呼のための人員確保やシフト調整の負担が解消され、点呼業務に従事する体制を6名から2名へと大幅に削減することに成功しました。限られた運行管理者のみで24時間安定した点呼体制を構築し、人件費削減と労働環境の改善を実現しています。

参照元:LOGISTICS TODAY(https://www.logi-today.com/960693

ロボット点呼による働き方改革

クラウド型点呼システムを導入し、業務後自動点呼を開始。従来はドライバーの帰庫を待つため、運行管理者が夜21時まで待機する必要がありましたが、システムとデジタコの連携により、管理者はドライバーの帰庫を待たずに退勤できるようになりました。結果として1日約3時間の待機時間を削減し、大幅な業務効率化と働き方改革を達成しています。

参照元:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000116125.html

夜間・休日の点呼負担軽減

深夜や早朝の出発・帰庫が頻繁に発生する環境において、従来は管理者を常に配置する必要がありましたが、自動点呼システムの導入により夜間や休日の出勤を大幅に削減できました。運行管理者とドライバー双方の労働時間短縮に繋がり、確保できた時間を安全教育に充てることで、高い輸送品質の維持に貢献しています。

参照元:東海電子公式YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=1ei4kwOltaA

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