【自動点呼とは?】運送業の自動点呼管理

運行管理者の負担軽減や、点呼の品質向上のために導入が進む「自動点呼」。2023年1月から実施できるようになった「業務後自動点呼」に加え、2025年4月には「業務前自動点呼」も制度化されました。

現在は、国土交通大臣の認定を受けた自動点呼機器を使用することで、運行管理者等がその場に立ち会わずに業務前・業務後の点呼を実施できます。ただし、使用する機器や実施場所、異常時の対応体制など、制度上の要件を満たす必要があります。

本記事では、自動点呼の仕組みやほかの点呼方法との違い、業務前・業務後自動点呼の違い、メリット、導入条件について、2026年8月時点の制度を踏まえて詳しく解説します。

目次

自動点呼とは?「業務前」と「業務後」の最新動向を解説

自動点呼とは、国土交通大臣の認定を受けた自動点呼機器を使用して、本人確認やアルコール測定、必要事項の確認・判定・記録などを行う点呼方法です。

IT点呼や遠隔点呼では、運行管理者等が映像・音声などを通じて運転者に点呼を行います。一方、自動点呼では、運転者が認定機器を使用して点呼を受けるため、点呼実施時に運行管理者等がその場に立ち会う必要がありません。

ただし、自動点呼を導入すれば運行管理者が不要になるわけではありません。運行管理者等は、あらかじめ点呼予定を登録し、実施結果を確認するとともに、アルコール検知や健康状態の異常、点呼未実施、機器故障などが発生した場合に適切な措置を講じる必要があります。

※参照元:国土交通省「運行管理高度化ワーキンググループ」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000082.html

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点呼方法の違いが分かる早見表

対面点呼、IT点呼、遠隔点呼、自動点呼、電話などによる点呼では、運行管理者等の立ち会いの有無や実施場所、必要な機器、手続きなどが異なります。

特に「IT点呼」「遠隔点呼」「自動点呼」は混同されやすいため、主な違いを一覧で確認しておきましょう。

比較項目 対面点呼 従来型IT点呼 遠隔点呼 自動点呼 電話などによる点呼
基本的な方法 運行管理者等と運転者が同じ場所で対面して実施 映像・音声を使い、離れた営業所や車庫などを接続して実施 告示の要件を満たす機器・システムを使い、離れた拠点や車内などを接続して実施 国土交通大臣が認定した機器を使い、運行管理者等がその場に立ち会わず実施 運行上やむを得ず対面等で実施できない場合に、電話その他の方法で実施
運行管理者等の立ち会い 必要 必要 必要 原則不要。ただし、実施結果の確認や異常時に対応できる体制が必要 必要
主な実施場所 営業所、車庫など 適用要件を満たす営業所・車庫間など 営業所、車庫、車内、待合所、宿泊施設など、告示で認められた場所 営業所・車庫のほか、認定機器の認定範囲によっては事業用自動車内、待合所、宿泊施設など 遠隔地、宿泊先など、運行上やむを得ない場所
Gマーク 不要 実施範囲によって必要。未取得営業所は利用できる範囲が限定される 不要 不要 不要
本人確認 対面で確認 映像等で確認 生体認証など、なりすましを防止できる方法が必要 生体認証などを使って認定機器が確実に識別 会話等で確認するが、映像を伴わない場合は確認できる情報が限定される
記録方法 紙または電子データ 点呼結果やアルコール測定結果などをシステムに記録 点呼日時、確認結果、アルコール測定結果などをシステムに記録・保存 確認・判定結果などをシステムに自動記録・保存 点呼実施者が点呼記録簿等に記録
主な手続き 通常は点呼方法としての届出不要 適用要件や届出方法を管轄の運輸支局等に確認 原則として実施予定日の10日前までに届出。事業者間で行う場合は別途許可が必要 原則として実施予定日の10日前に届出 特別な導入届出ではなく、やむを得ない事情と実施内容を適切に記録
向いているケース 同一拠点で運転者の状態を直接確認したい 従来制度の適用範囲内で複数拠点の点呼を集約したい 複数拠点や車内などを含め、運行管理者等による点呼を集約したい 早朝・深夜を含め、点呼業務を省人化したい 宿泊を伴う運行など、対面等による点呼が困難な場合
※制度や実施可能な範囲は、事業種別、点呼区分、使用機器、営業所・車庫の関係などによって異なります。実際の導入前に、最新の告示・通達と管轄の運輸支局等の案内をご確認ください。
※参照元:国土交通省「運行管理高度化ワーキンググループ」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000082.html

自動点呼の仕組み

自動点呼では、運行管理者等があらかじめ点呼の実施予定や必要な指示事項を登録し、運転者が国土交通大臣の認定を受けた自動点呼機器を使って点呼を受けます。

一般的には、次のような流れで確認・記録が行われます。

  1. 点呼予定を登録する:運行管理者等が、対象となる運転者や実施予定、点呼に責任を持つ運行管理者等を登録します。
  2. 本人確認を行う:生体認証などによって、点呼を受ける運転者本人であることを確認します。
  3. アルコール測定を行う:本人確認と紐付けてアルコール検知器による測定を行い、結果を記録・保存します。
  4. 必要事項を確認する:業務前自動点呼では健康状態や日常点検の結果など、業務後自動点呼では車両・道路・運行の状況などを確認します。
  5. 指示事項を伝達する:運行管理者等があらかじめ登録した必要な指示を、画面表示や音声などで運転者へ伝えます。
  6. 結果を記録・保存する:点呼日時、確認・判定結果、アルコール測定結果などをシステムに記録・保存します。

アルコールが検知された場合や、健康状態・日常点検に異常が認められた場合、予定時刻までに点呼が完了しない場合などは、運行管理者等へ通知し、必要な確認や措置を行える体制が必要です。

そのため、自動点呼は単に「人が行っていた点呼を機械へ置き換える仕組み」ではなく、認定機器による確認・判定・記録と、運行管理者等による結果確認・異常時対応を組み合わせた点呼方法と考えることが重要です。

自動点呼とほかの点呼方法との違い

自動点呼と対面点呼の違い

対面点呼では、運行管理者等と運転者が同じ場所にいて、表情や声、健康状態などを直接確認します。

一方、自動点呼では、国土交通大臣の認定を受けた機器によって本人確認、アルコール測定、必要事項の確認・判定・記録などを行うため、点呼実施時に運行管理者等がその場に立ち会う必要がない点が大きな違いです。

自動点呼とIT点呼の違い

IT点呼は、映像・音声などのIT機器を使い、離れた場所にいる運行管理者等と運転者をつないで行う点呼です。

IT点呼でも運行管理者等が運転者の状態を確認し、必要な判断や指示を行うため、点呼時の立ち会いが必要です。これに対し、自動点呼では認定機器を使用して運転者が点呼を受けるため、運行管理者等のその場での立ち会いは原則不要です。

自動点呼と遠隔点呼の違い

遠隔点呼も、映像・音声などを使って離れた場所から点呼を行う制度です。営業所や車庫のほか、一定の条件を満たす車内、待合所、宿泊施設などでも実施できます。

ただし、遠隔点呼は運行管理者等が映像・音声を通じて運転者へ点呼を行う仕組みです。一方、自動点呼は国土交通大臣の認定を受けた機器を使用し、運行管理者等がその場に立ち会わずに実施できる点が異なります。

自動点呼と電話などによる点呼の違い

電話などによる点呼は、宿泊を伴う運行など、運行上やむを得ない事情によって対面等の方法で点呼を行えない場合に利用される方法です。

自動点呼のように、省人化を目的として通常の点呼を電話へ置き換えられるわけではありません。適用できる場面や確認方法が異なるため、それぞれの制度を区別して運用する必要があります。

自動点呼を理解するために押さえたい点呼管理の基本

点呼の目的と重要性

点呼は、運行管理者やその補助者などが運転者に対して行う確認業務で、その大きな目的は「安全運行の徹底」にあります。

具体的には、運転者の健康状態や疲労、睡眠不足、酒気帯びの有無などを確認するとともに、車両や道路、運行の状況を把握し、安全運転に必要な指示を行います。

こうした確認を確実に行い、運転者が安全に業務を遂行できる状態かを判断することが、事故防止につながります。

点呼の種類(乗務前・乗務後・中間点呼)と実施タイミング

点呼は、業務のタイミングによっていくつかの種類に分けられます。それぞれ確認する内容が異なるため、目的に沿って適切に実施する必要があります。

  • 乗務前・業務前点呼:運転者が業務に入る前に実施し、酒気帯びの有無や健康状態、疲労・睡眠不足、日常点検の結果などを確認し、安全運行に必要な指示を伝えます。
  • 乗務後・業務後点呼:乗務終了後に実施し、酒気帯びの有無に加えて、車両・道路・運行の状況や、交替する運転者へ伝えるべき事項などを確認します。
  • 中間・業務途中の点呼:宿泊を伴う運行などで、業務前・業務後のいずれも対面等で実施できない場合などに必要となる点呼です。運行形態や適用制度に応じて、電話その他の方法や遠隔点呼などを利用します。

法令違反に対する厳しい処分

点呼の未実施や不適切な実施は、法令違反として行政処分の対象となる可能性があります。点呼を実施した場合でも、必要な確認や記録が行われていなければ適切な点呼と認められない場合があります。

点呼管理は、運送事業者にとって「安全運行」を支える根幹の業務です。制度上定められた方法に従い、確実に実施・記録することが重要です。

点呼管理を効率化するにはIT化が鍵

運送業において点呼管理を効率化する方法の一つが、IT機器やシステムの活用です。

映像・音声などを使って離れた場所から運行管理者等が点呼を行う「IT点呼」や「遠隔点呼」に加えて、近年では、国土交通大臣の認定を受けた機器を活用する「自動点呼」も制度化されています。

点呼のデジタル化によって、早朝・深夜の点呼体制を見直したり、手書きによる点呼記録の負担や確認漏れを減らしたりすることが期待できます。

業務前・業務後自動点呼の制度と違い

【2023年1月開始】業務後自動点呼(乗務後自動点呼)の概要

業務後(乗務後)自動点呼は、2023年1月から実施できるようになった自動点呼です。

乗務を終えた運転者が認定機器を使い、本人確認やアルコール測定を行ったうえで、事業用自動車、道路、運行の状況や、交替する運転者への通告事項などを報告します。

業務後自動点呼を活用することで、深夜に帰庫する運転者の点呼のためだけに運行管理者等が現場で待機する負担を軽減しやすくなります。

また、現在は認定された機器によっては、営業所・車庫だけでなく、事業用自動車内や待合所、宿泊施設などで業務後自動点呼を実施することも可能です。

※参照元:国土交通省「乗務後自動点呼が実施できるようになります!」(https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000535.html

【2025年4月制度化】業務前自動点呼(乗務前自動点呼)の概要と最新事情

業務前(乗務前)自動点呼は、実証実験を経て、2025年4月30日の点呼告示改正によって制度化されました。

その後、2025年8月から国土交通大臣による業務前自動点呼機器の認定が進み、現在では複数の認定機器を利用して実際に運用できるようになっています。

業務前自動点呼では、これから運転する運転者が安全に業務を行える状態かを確認するため、アルコール測定だけでなく、体温・血圧、疾病・疲労・睡眠不足、日常点検の結果なども確認します。

異常が確認された場合には、そのまま点呼を完了できない仕組みが求められており、必要に応じて運行管理者等が運転者の状態を確認し、適切な措置を講じます。

※参照元:国土交通省「運行管理高度化ワーキンググループ」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000082.html

業務前自動点呼と業務後自動点呼の主な違い

同じ自動点呼でも、業務前と業務後では目的や確認する内容が異なります。

特に業務前自動点呼では、「これから安全に運転できる状態か」を確認する必要があるため、健康状態や日常点検に関する確認機能が追加されています。

項目 業務後(乗務後)自動点呼 業務前(乗務前)自動点呼
主な目的 業務終了後の状態や運行状況を確認する これから安全に運転できる状態かを確認する
本人確認 生体認証などによって本人を識別 生体認証などによって本人を識別
アルコール確認 アルコール検知器による測定結果を記録・保存 アルコール検知器による測定結果を記録・保存
主な確認内容 車両・道路・運行の状況、交替する運転者への通告事項など 体温・血圧、疾病・疲労・睡眠不足、日常点検の結果など
健康状態の確認 業務後点呼として必要な確認を実施 体温・血圧の測定値と平時の値との差などを記録し、安全な運転ができないおそれを判定
異常時 アルコールが検知された場合などは点呼を中止し、運行管理者等へ通知 アルコールや日常点検の異常時は点呼を中止。健康状態に問題があると判定された場合は点呼を中断し、運行管理者等が確認
運行管理者等の立ち会い 原則不要。ただし、結果確認や異常時対応が必要 原則不要。ただし、結果確認や異常時対応が必要

業務前自動点呼は、業務後自動点呼と比べて、運転者の健康状態や車両の状態をより詳しく確認する必要があります。そのため、体温・血圧を測定する健康状態測定機能など、業務前自動点呼に対応した認定機器を導入する必要があります。

※参照元:国土交通省「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001904753.pdf

業務前・業務後自動点呼の導入条件・必須要件

自動点呼を運用するためには、単にシステムを導入するだけでなく、国土交通大臣の認定を受けた機器を使用し、施設・通信環境や異常時の対応体制などを整える必要があります。

また、業務前と業務後では機器に求められる機能や確認内容が異なります。ここでは、それぞれの主な要件を確認していきましょう。

業務後自動点呼に必要な条件・施設要件

業務後自動点呼では、本人確認やアルコール測定に加えて、業務終了後の車両・道路・運行状況などを記録し、運行管理者等が確認できる仕組みが必要です。

  • 認定機器の使用:国土交通大臣の認定を受けた、業務後自動点呼に対応する機器を使用します。
  • 点呼予定の登録:運行管理者等が運転者ごとの業務後自動点呼の実施予定と、その点呼に責任を持つ運行管理者等をあらかじめ登録できる必要があります。
  • 生体認証などによる本人確認:生体認証符号等を用いて、点呼を受ける運転者本人を確実に識別できる機能が必要です。
  • アルコール検知器との連動:本人確認と紐付けてアルコール測定を行い、測定結果や測定時の静止画・動画を記録・保存します。
  • アルコール検知時の通知・中止:アルコールが検知された場合には、運行管理者等へ直ちに警報・通知し、自動点呼を中止できる必要があります。
  • 業務終了後の報告:事業用自動車、道路、運行の状況や、交替する運転者等への通告について、運転者が報告した内容を記録し、運行管理者等が確認できる必要があります。
  • 必要な指示の伝達:運行管理者等が運転者ごとに登録した指示事項を、画面表示や音声で伝えられる機能が必要です。
  • 未実施時の通知:設定した時刻を過ぎても業務後自動点呼が完了しない場合に、運行管理者等へ通知できる必要があります。
  • 点呼結果の記録・保存:点呼日時、運転者、車両、アルコール測定結果、報告事項などを電磁的方法で記録・保存できる必要があります。
  • 点呼状況を確認できる撮影環境:なりすましや機器の不正使用を防ぐため、運行管理者等が運転者の全身を自動点呼中または終了後に明瞭に確認できる撮影環境を整えます。
  • 通信環境:自動点呼が途中で途絶しないために必要な通信環境を備えます。
  • 異常時・故障時の対応:アルコール検知や機器故障などが発生した場合に運行管理者等が対応でき、自動点呼が実施できない場合には対面点呼などへ切り替えられる体制を整えます。
  • 運行管理規程や教育:自動点呼の運用方法を運行管理規程等に定め、関係者への周知・教育を行います。
  • 事前の届出:自動点呼の実施予定日の原則10日前に、管轄の運輸支局等へ「自動点呼の実施に係る届出書」を提出します。

また、営業所や車庫以外の場所で自動点呼を行う場合は、使用する機器がその場所での自動点呼について認定を受けている必要があります。運転者が事業者の定めた場所で点呼を受けていることを静止画または動画で確認できる体制も必要です。

※参照元:国土交通省「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001904753.pdf

業務前自動点呼に必要な条件(バイタルチェック・生体認証など)

業務前自動点呼では、これから運転する運転者が安全に乗務できる状態かを確認するため、業務後自動点呼にはない健康状態や車両状態に関する機能が求められています。

  • 生体認証などによる本人確認:生体認証符号等を使って運転者本人を確実に識別し、本人確認が行われた場合に自動点呼を開始できる必要があります。
  • アルコール検知器との連動:本人確認と紐付けてアルコール測定を行い、測定結果や測定時の静止画・動画を自動的に記録・保存します。
  • アルコール検知時の通知・中止:アルコールが検知された場合は、運行管理者等へ直ちに警報・通知し、業務前自動点呼を中止します。
  • 体温・血圧の測定:健康状態測定機能を使って、運転者の体温と血圧を測定します。
  • 平時の値との比較:体温・血圧の測定値と、運行管理者等があらかじめ設定した運転者ごとの平時の値との差を記録・保存できる必要があります。
  • 疾病・疲労・睡眠不足の確認:疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により、安全な運転ができないおそれがないか運転者から申告を受け、その結果を記録します。
  • 健康状態の自動判定:測定値や申告結果から、安全な運転ができないおそれの有無を機器が自動で判定します。
  • 健康状態に問題がある場合の中断:安全な運転ができないおそれがあると判定された場合には運行管理者等へ通知し、業務前自動点呼を中断します。
  • 中断後の再開:運行管理者等が判定内容を確認し、安全な運行を確保できると判断した場合に限り、本人確認を行ったうえで点呼を再開できます。
  • 日常点検結果の確認:事業用自動車の日常点検結果を記録・保存し、異常が認められた場合は運行管理者等へ通知して点呼を中止します。
  • 運行に必要な指示の伝達:運行管理者等が運転者ごとに登録した指示事項を、画面表示または音声で伝達します。
  • 携行品を確認できる体制:運転者が業務に必要な携行品を確実に携行していることを確認できる体制を整えます。
  • 異常時・故障時の対応:健康状態や日常点検に問題がある場合、または機器故障等で自動点呼ができない場合に、運行管理者等が適切な措置を講じられる体制を整えます。

なお、IC運転免許証リーダーそのものが、すべての業務前自動点呼機器に一律で必須とされているわけではありません。現在の告示では、事業者に対して、運転者が必要な携行品を確実に携行していることを確認できる体制を整えることが求められています。

このように業務前自動点呼では、単にアルコールチェックを自動化するのではなく、健康状態や車両の状態まで含めて、安全に乗務できるかを確認する仕組みが必要です。

※参照元:国土交通省「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001904753.pdf
※届出様式・認定機器一覧:国土交通省「運行管理高度化ワーキンググループ」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000082.html

自動点呼システムを導入する手順

自動点呼を導入するときは、認定機器を選ぶだけでなく、対象となる点呼や実施場所を整理し、運用体制の整備、届出、教育まで計画的に進める必要があります。

1.現在の点呼業務と課題を整理する

まず、どの営業所で、誰が、何時に、何人の運転者へ点呼を行っているかを整理します。早朝・深夜の点呼対応、運行管理者等の待機時間、記録作業の負担、点呼の集中時間などを確認し、自動化したい範囲を明確にしましょう。

2.業務前・業務後のどこまで自動化するか決める

業務後自動点呼だけを導入するのか、業務前自動点呼にも対応するのかを決めます。また、営業所・車庫だけで利用するのか、事業用自動車内や待合所、宿泊施設などでも利用したいのかを整理します。

実施できる点呼区分や場所は認定機器によって異なるため、導入目的を先に明確にしておくことが重要です。

3.管轄の運輸支局等へ事前相談する

実施予定の営業所、点呼区分、実施場所、運用方法を整理し、必要に応じて管轄の運輸支局等へ事前に相談します。届出に必要な書類や運用上の要件も確認しておくと、導入をスムーズに進めやすくなります。

4.国土交通大臣の認定機器から選定する

自動点呼では、国土交通大臣の認定を受けた機器を使用する必要があります。

認定機器一覧を確認し、「業務前・業務後のどちらに対応しているか」「利用したい場所が認定範囲に含まれているか」を確認したうえで、アルコール検知器、健康状態測定機器、本人認証、点呼記録、通知機能などを比較しましょう。

5.施設・通信環境と運用ルールを整える

点呼を行う場所の撮影環境や照明、通信環境を整えるとともに、アルコール検知、健康状態の異常、日常点検の異常、点呼未実施、機器故障などが発生した場合の対応方法を決めます。

あわせて、自動点呼の運用方法を運行管理規程や社内マニュアルなどへ反映し、運行管理者等と運転者が共通のルールで運用できるようにします。

6.自動点呼の実施に係る届出を行う

必要な体制を整えたうえで、自動点呼の実施予定日の原則10日前に、対象となる営業所を管轄する運輸支局等へ「自動点呼の実施に係る届出書」を提出します。

届出様式は改正される場合があるため、国土交通省が公開している最新の様式を確認しましょう。

7.運行管理者等と運転者へ教育を行う

本人認証、アルコール測定、健康状態の測定・申告、報告事項の入力など、実際の操作方法を周知します。

また、異常時に運転者が勝手に判断して点呼を進めないよう、運行管理者等への連絡方法や、自動点呼が利用できない場合に対面点呼などへ切り替える手順も教育しておきましょう。

8.試験運用後に本格運用を開始する

本格稼働前に、本人認証、測定機器との連携、点呼結果の保存、異常時の通知などが正しく機能するか確認します。

運用開始後も、点呼未実施や機器故障、操作上のトラブルなどを確認し、必要に応じて運用ルールや教育内容を見直しましょう。

※参照元:国土交通省「運行管理高度化ワーキンググループ」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000082.html

業務前・業務後自動点呼システムを導入するメリット

運行管理者の業務負担軽減

自動点呼を導入する大きなメリットの一つが、運行管理者等の業務負担を軽減しやすくなることです。

運送業では、早朝の出発や深夜の帰庫に合わせて点呼を行う必要があります。そのため、点呼の時間に合わせた勤務や待機が運行管理者等の負担になることがあります。

自動点呼を活用すれば、認定機器を使って運転者が点呼を受けられるため、点呼のためだけに運行管理者等が早朝・深夜に現場で立ち会う負担を減らせます。

確保できた時間を、安全教育や運行計画の確認、運転者への指導など、ほかの運行管理業務に充てやすくなる点もメリットです。

アナログ管理からの脱却と人的ミスの防止

人が行う点呼や紙による記録では、「確認項目の抜け漏れ」や「記録簿への記載・転記ミス」が発生する可能性があります。

自動点呼機器には、必要な確認・判断・記録が行われていない場合には点呼を完了できない機能が求められています。

また、生体認証とアルコール検知器を連動させることで、本人確認とアルコール測定結果を紐付けて記録できるため、確認漏れやなりすましなどの防止にも役立ちます。

点呼記録のデジタル保存で保管・確認がスムーズに

自動点呼で確認・判定した内容は、システム上にデータとして記録・保存されます。

紙の点呼記録簿と比べて、必要な記録を検索・確認・出力しやすくなるため、日常の点呼管理だけでなく、社内確認や監査への対応も効率化しやすくなります。

ただし、自社に適用される法令上の点呼記録の保存期間に従い、必要な記録を適切に管理することが重要です。

自動点呼導入におけるデメリット・注意点

国交省認定機器の導入コスト

自動点呼を行うためには、国土交通大臣の認定を受けた自動点呼機器を使用する必要があります。

導入する製品によっては、自動点呼システムの利用料のほか、アルコール検知器、カメラ、通信環境などの整備費用が必要です。

特に業務前自動点呼では、体温・血圧を測定する健康状態測定機能が必要になるため、業務後自動点呼のみを行う場合とは必要な機器構成が異なります。

また、自動点呼機器によって認定されている点呼区分や実施場所が異なるため、価格だけでなく、「業務前・業務後のどちらに対応するか」「どの場所で利用できるか」も確認して選びましょう。

システム導入に伴う社内教育・運用ルールの整備

自動点呼システムを導入しても、現場の運転者が適切に操作できなければ、点呼をスムーズに実施できません。

本人認証やアルコール測定、健康状態の測定・申告などの操作方法を周知し、運行管理者等や運転者に対して必要な教育を行うことが求められます。

また、アルコールが検知された場合、健康状態に問題があると判定された場合、日常点検で異常があった場合、予定時刻までに点呼が完了しない場合、機器が故障した場合などに、運行管理者等が速やかに対応できる体制を整えておく必要があります。

自動点呼は「完全な無人化」ではありません。点呼時の立ち会いを省ける一方、運行管理者等による点呼予定の設定、結果確認、異常時対応などは引き続き必要です。

自動点呼システムの導入事例

自動点呼は、早朝・深夜の点呼体制の見直しや、運行管理者等の待機時間削減などを目的に導入されています。ここでは、自動点呼の導入が確認できる事例を紹介します。

なお、導入効果は事業者の規模や運行形態、導入する機器、運用方法などによって異なります。

自動点呼導入による24時間運用の省人化

三生運輸では、BSSを導入し、業務前・業務後自動点呼の運用を開始しています。

従来は、夜間点呼のための人員確保やシフト調整などが課題となっていましたが、自動点呼の導入によって、点呼業務に従事する体制を6人から2人へ削減。運行管理者2人による24時間の点呼体制を構築しています。

自動点呼を活用することで、点呼のために夜間の人員を確保する負担を減らし、運行管理体制の効率化につなげた事例です。

参照元:LOGISTICS TODAY(https://www.logi-today.com/960693

業務後自動点呼で管理者の待機時間を削減

産業ガステクノサービスでは、クラウド型点呼支援システムを導入し、業務後自動点呼を活用しています。

従来はドライバーの帰庫を待つため、運行管理者が定時後も21時まで待機する必要がありました。業務後自動点呼と運行管理システムを活用することで、ドライバーの帰庫を待たずに退勤できるようになり、1日約3時間の待機時間削減につながったとされています。

点呼記録の作成もシステム化され、運行管理者が安全管理などの業務に時間を使いやすい環境づくりにつながっています。

参照元:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000116125.html

遠隔点呼と自動点呼を組み合わせて点呼業務を効率化

大川運輸では、複数の営業所に点呼システムを導入し、遠隔点呼と自動点呼を組み合わせて運用しています。

営業所や時間帯などに応じて点呼方法を使い分けることで、従来の対面点呼中心の運用から、より柔軟な点呼体制へ移行しています。

自動点呼はすべての点呼を一律に置き換えるのではなく、対面点呼や遠隔点呼などと組み合わせ、自社の運行形態に合った点呼体制を構築することも重要です。

参照元:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000116125.html

自動点呼に関するよくある質問

自動点呼を導入すれば運行管理者は不要になりますか?

いいえ。自動点呼では、点呼を行う際の運行管理者等の立ち会いは原則不要ですが、運行管理者そのものが不要になるわけではありません。

運行管理者等は、点呼予定の登録や実施結果の確認、アルコール検知、健康状態の異常、日常点検の異常、機器故障、点呼未実施などが発生した場合の対応を行う必要があります。

自動点呼を導入するにはGマークが必要ですか?

自動点呼の実施にGマークの取得は必須ではありません。ただし、国土交通大臣の認定を受けた自動点呼機器を使用し、施設・環境や運用体制などの要件を満たしたうえで、所定の届出を行う必要があります。

業務前と業務後で同じ自動点呼機器を使えますか?

使用する機器が、業務前自動点呼と業務後自動点呼の両方について認定を受けていれば利用できます。

認定機器によって対応している点呼区分が異なるため、国土交通省が公表している認定機器一覧で確認しましょう。

自動点呼は営業所や車庫以外でもできますか?

使用する自動点呼機器の認定範囲によっては、事業用自動車内、待合所、宿泊施設その他これらに類する場所でも実施できます。

営業所や車庫以外で利用したい場合は、導入予定の機器がその場所での自動点呼について認定を受けているか確認する必要があります。

業務前自動点呼ではIC運転免許証リーダーが必須ですか?

IC運転免許証リーダーそのものが、すべての業務前自動点呼機器に一律で必須とされているわけではありません。

一方、事業者には、運転者が業務に必要な携行品を確実に携行していることを確認できる体制を整えることが求められています。

自動点呼機器が故障した場合はどうすればよいですか?

機器故障や通信障害などによって自動点呼を実施できない場合に備え、対面点呼など、その状況で実施が認められている別の点呼方法へ切り替えられる体制をあらかじめ整えておく必要があります。

業務前・業務後の両方に対応!アネストシステムのBSS自動点呼機能

国交省認定!BSSの自動点呼機能の特徴

アネストシステムの「BSS」では、国土交通大臣の認定を受けた業務前・業務後自動点呼機能を利用できます。

国土交通省が公表している認定機器一覧では、BSSは業務後自動点呼機器として認定番号「JG23-003」、業務前自動点呼機器として認定番号「JM25-003」で掲載されています。

また、BSSは営業所・車庫だけでなく、事業用自動車内、待合所、宿泊施設その他これらに類する場所を含む自動点呼について認定されています。

業務後自動点呼だけでなく、体温・血圧などの確認が必要な業務前自動点呼にも対応しているため、早朝・深夜を含む点呼体制の見直しを検討できます。

点呼に必要な情報や測定結果をシステム上で管理することで、点呼記録の作成・確認にかかる業務負担の軽減にもつながります。

実際に使用する機器構成や対応機能、運用方法などは導入条件によって異なるため、導入時には最新の製品情報と国土交通省の認定内容を確認しましょう。

※参照元:国土交通省「認定を受けた自動点呼機器一覧」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000082.html
※参照元:BSS「業務前自動点呼機能」(https://bss-cloud.info/bss-cloud/jidoutenko-before/
※参照元:BSS「業務後自動点呼機能」(https://bss-cloud.info/bss-cloud/jidoutenko/

アネストシステムのBSSとは?

BSSの仕組み
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