運送業では、トラックなどの事業用車両を安全に運行するため、日常的な点検だけでなく、故障や不具合が発生した際の修理・整備履歴を適切に管理することが重要です。修理した箇所や整備内容、実施時期などを車両ごとに記録しておけば、同じ故障の再発防止や点検漏れの防止、車両更新の判断にも役立ちます。ここでは、運送業における修理記録管理の考え方や点検整備記録簿の記録項目・保存期間、事故発生時の記録、デジタル管理のポイントについて解説します。
運送業の修理記録管理とは
運送業の修理記録管理とは、車両に発生した故障や不具合、修理・部品交換などの履歴を車両ごとに記録し、その後の点検や整備に活用できる状態にしておくことです。
「修理記録管理」という名称の独立した法定帳簿があるわけではありませんが、事業用自動車の点検・整備については道路運送車両法に基づく点検整備記録簿への記録・保存が必要です。また、事故に伴って修理が必要になった場合には、貨物自動車運送事業輸送安全規則に基づく事故記録など、関連する記録も確認する必要があります。
法令上必要な記録だけでなく、修理原因や費用、交換部品などもあわせて管理しておくことで、車両の状態を把握しやすくなります。
運送業で修理・整備記録を管理する必要性
車両の安全な運行につなげる
自動車は走行距離や使用年数の増加に伴って部品が劣化・摩耗していきます。適切な点検や整備を行わずに使用を続けると、走行中の故障や整備不良による事故につながる可能性があります。
そこで重要になるのが、「いつ・どの車両の・どの箇所に不具合が発生し、どのような修理を行ったのか」を記録することです。過去の修理履歴を確認できれば、同じ箇所の故障が繰り返されていないかなども把握しやすくなります。
点検・整備漏れを防ぐ
事業用自動車は、道路運送車両法に基づいて定期的な点検整備を行う必要があります。自動車運送事業の用に供する自動車では、原則として3か月ごとの定期点検が必要です。
また、3か月点検に加えて12か月ごとに確認する点検項目もあるため、車両ごとに実施日や次回予定日を管理することが重要です。なお、車検と点検・整備は別のものであり、車検に合格していても日常点検や定期点検を省略できるわけではありません。
修理履歴と点検予定を一緒に管理しておけば、「以前不具合があった箇所を次回点検で確認する」といった継続的な車両管理もしやすくなります。
修理費や車両更新の判断材料にする
修理記録は安全管理だけでなく、車両コストを把握するためにも活用できます。車両ごとに修理回数や修理費用、故障箇所、走行距離などを蓄積すれば、特定の車両だけ故障が増えている、以前より修理費が高くなっているといった変化を把握できます。
修理を続ける場合のコストと車両を入れ替える場合のコストを比較するなど、修理履歴を車両更新の判断材料として活用することも可能です。
点検整備記録簿に記録する項目
道路運送車両法では、自動車の使用者が所定の点検・整備を行った際に、点検整備記録簿へ必要事項を記載することが定められています。
主な記録項目は以下のとおりです。
| 記録項目 | 内容 |
|---|---|
| 点検の年月日 | 点検を実施した年月日 |
| 点検の結果 | 各点検項目について確認した結果 |
| 整備の概要 | 修理・交換など実施した整備の内容 |
| 整備を完了した年月日 | 整備が完了した年月日 |
| 車両情報 | 自動車登録番号、車両番号または車台番号 |
| 総走行距離 | 点検・整備を行った時点の総走行距離 |
| 実施者 | 点検・整備を実施した者の氏名または名称など |
整備の概要には、必要に応じて交換した主な部品や測定結果なども記録します。
また、法令で定められている項目とは別に、社内の修理記録として故障・修理の原因、修理費用、交換部品、整備工場、見積書・請求書、次回確認予定日なども車両ごとに紐づけておくと、その後の車両管理に活用しやすくなります。
点検整備記録簿の保存期間は原則1年間
事業用自動車などの点検整備記録簿は、記載の日から1年間保存する必要があります。
ただし、これは法令上の保存期間です。車両の維持管理という観点では、保存期間を過ぎたからといってすぐに過去の修理・整備情報を削除する必要はありません。
国土交通省も、点検整備記録簿を可能な限り長期間保存し、車両の「生涯記録簿」として活用することが望ましいとしています。過去の故障傾向や修理回数、部品交換の時期などを把握するためにも、修理履歴は車両を使用している間、継続的に確認できる状態にしておくとよいでしょう。
運送業の修理記録を効率的に管理するポイント
車両ごとに修理履歴を一元管理する
修理記録を管理する際は、車両ごとに過去の履歴を確認できる状態にすることが重要です。修理伝票や点検記録が別々のファイルや紙で保管されていると、以前どのような修理をしたのか確認するだけでも時間がかかります。
車両番号などを基準に、点検・故障・修理・部品交換・費用などの情報を一元管理しておけば、過去の履歴をすぐに確認でき、整備担当者や管理者間でも情報を共有しやすくなります。
3か月・12か月点検や車検の予定と連携する
修理履歴だけでなく、定期点検や車検などの予定も車両ごとに管理しましょう。
たとえば、以前修理した箇所を次回の定期点検時に再度確認するよう予定を登録しておけば、不具合の再発にも気付きやすくなります。過去の修理記録と今後の点検予定を別々に管理するのではなく、一連の車両メンテナンス情報として管理することがポイントです。
点検・修理期限を通知できるようにする
保有するトラックの台数が増えるほど、車両ごとの点検日や修理予定日を管理する負担も大きくなります。
紙の管理表や表計算ソフトでは、記録そのものは残せても、担当者が確認を忘れることで点検・整備の予定を見落としてしまう可能性があります。
そのため、点検や車検、修理の期限が近づいた際に管理者へ通知できる車両管理システムなどを利用することで、管理負担や予定漏れを減らしやすくなります。
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事故に伴う修理では事故記録もあわせて管理
車両の修理が必要になる原因のひとつが交通事故です。事業用自動車に係る事故が発生した場合には、修理履歴だけでなく、貨物自動車運送事業輸送安全規則に基づく事故の記録が必要になる場合があります。
修理記録と事故記録を紐づけておけば、どの事故によってどのような損傷が発生し、どの箇所を修理したのかを確認しやすくなり、その後の再発防止や車両管理にも活用できます。
事故記録を作成する場合
貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条の2では、事業用自動車に係る事故が発生した場合に事故の記録を作成することが定められています。
また、自動車事故報告規則に該当する事故が発生した場合には、事故報告書の提出も必要です。事故の種類によっては運輸支局等への報告が必要になるため、事故発生時には対象となるか確認しましょう。
事故記録に記載する項目
事故記録では、事故が起きた事実だけでなく、原因や再発防止策まで記録します。主な記録項目は以下のとおりです。
一 乗務員等の氏名
二 事業用自動車の自動車登録番号その他の当該事業用自動車を識別できる表示
三 事故の発生日時
四 事故の発生場所
五 事故の当事者(乗務員等を除く。)の氏名
六 事故の概要(損害の程度を含む。)
七 事故の原因
八 再発防止対策
事故によって車両を修理した場合は、事故記録とは別に修理内容や費用なども車両の履歴として管理しておくと、事故発生から修理、その後の点検まで一連の情報を確認しやすくなります。
事故記録の保存期間は3年間
事故の記録は、事故発生後30日以内に作成し、事故発生後3年間保存する必要があります。
事故記録を残すだけでなく、事故原因や車両の損傷箇所、修理内容、再発防止策を関連付けて管理することで、その後の安全教育や車両整備にも活用できます。
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アネストシステムのBSSでは車両ごとにメンテナンス管理が可能です。3か月点検や車検、シーズン点検など決まったタイミングで自動的に予定が作成されるので、点検漏れや予定漏れを防いでくれます。また、メンテナンスの予定は自社オリジナルのものも作成可能です。
主な管理機能
- 点検管理(3ヵ月、6ヵ月、車検)
- 整備管理
- 修理管理
- 修理履歴閲覧
- 点検整備修理区分マスタ
- 修理内容マスタ
主な通知
- 6ヵ月点検の期限の通知
- 車検の期限の通知
- 整備の期限の通知
- 修理の期限の通知
アネストシステムのBSSとは?
画像引用元:株式会社アネストシステム
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