ここでは運送業に記載が求められている運転者台帳についてまとめました。運転者台帳に記載する対象者や記載項目、保存期限などについて解説。また運転者台帳のデジタル化メリットについてもご紹介します。
運転者台帳とは
運転者台帳とは、運送事業者が雇用するドライバーごとに作成・管理する名簿であり、氏名や住所などの基本情報に加え、免許情報、事故や違反の記録、健康状態などを記録したものです。単なる名簿ではなく、労働安全や交通安全を担保するための重要な書類として位置づけられており、監査や巡回指導の際にも必ず確認される文書です。
法的根拠としては、貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条の5に基づき、一般貨物自動車運送事業者等は運転者等ごとに運転者台帳を作成し、当該運転者等の属する営業所に備え置くことが義務付けられています。法律に基づいた作成・保存が求められる重要な帳簿であることを理解しておく必要があります。
運転者台帳の記載事項
運転者台帳には法令で定められた記載事項があり、これらの項目を漏れなく記録することが求められます。企業独自の書式を使用することは可能ですが、必須項目がすべて含まれていることが重要です。以下、各記載事項について詳しく見ていきましょう。
作成番号及び作成年月日
台帳ごとに通し番号(作成番号)とその作成年月日を付与します。番号の付け方や西暦・和暦の利用については自由ですが、社内ルールとして統一しておくことが望ましいでしょう。
作成番号は管理のしやすさを考慮し、連番で付けるのが一般的です。作成年月日は台帳を作成した日付を正確に記載します。これにより、台帳の作成時期や管理状況を明確にすることができます。
事業者の氏名または名称
事業者名(会社名または個人事業主の氏名)を記載します。法人の場合は「株式会社」や屋号も省略せずに正式名称を記載することが必要です。
この項目により、どの事業者が作成した台帳であるかが明確になります。複数の営業所を持つ事業者の場合でも、事業者名は統一して記載します。正確な事業者名の記載は、監査時の確認をスムーズにするためにも重要です。
運転者の氏名、生年月日及び住所
運転者(ドライバー)の氏名、生年月日、住所を記載します。これらは本人確認の基本情報となるため、正確に記録することが求められます。
引っ越しや結婚等で氏名や住所に変更が生じた場合は、速やかに台帳を更新する必要があります。最新の情報を維持することで、緊急時の連絡や各種手続きを円滑に行うことができます。
雇入れの年月日及び運転者に選任された年月日
運転者として雇われた日(雇入れ日)と、運転者として正式に選任された日(運転業務を開始した日)を記録します。この2つの日付は異なる場合があるため、それぞれ正確に記載することが重要です。
「選任」とは、研修・教育を終えて運転業務が可能になった日を意味します。雇入れ後に安全教育や実技研修を経てから選任されるケースが一般的です。この記録により、運転者の経験年数や教育履歴を把握することができます。
道路交通法に規定する運転免許に関する次の事項
運転免許に関しては、運転免許証の番号及び有効期限、運転免許の交付年月日及び種類、条件が付されている場合はその内容を記載します。これらの情報は運転者の運転資格を証明する重要な事項です。
運転免許証の写しを添付する形で管理することも可能です。免許の更新があった場合は、速やかに台帳の情報を更新し、最新の免許証情報を保持するようにしましょう。
事故や違反の記録
事故や違反があった場合、その概要、日時、場所、関係法令などを記録します。道路交通法に基づき、公安委員会から通知を受けた違反の記録も対象となります。
この記録は、運転者の安全運転状況を把握し、必要に応じた指導や教育を行うための重要な情報源となります。事故や違反の内容を詳細に記録することで、再発防止策の検討や適性診断の必要性を判断する材料となります。
運転者の健康状態
健康診断の結果や受診日など、運転者の健康状態に関する情報を記載・添付します。健康診断表の写しを添える方法も有効です。
運転業務は健康状態が安全性に直結するため、定期的な健康診断の実施とその記録は非常に重要です。健康上の問題が発見された場合は、適切な措置を講じるとともに、その内容を台帳に記録しておきましょう。
特定の運転者に対する指導や適正診断の受診の状況
初任診断、適齢診断、特定診断など、適性診断や指導の受診状況を記載します。特定運転者とは、例として事故惹起者や65歳以上の運転者などが該当します。
適性診断は運転者の運転特性を客観的に把握し、安全運転のための指導に活用する重要な制度です。受診が義務付けられている運転者については、確実に受診させ、その結果と受診日を台帳に記録しておく必要があります。
6ヶ月以内の写真
台帳には作成前6ヶ月以内に撮影した写真(単独、無帽、正面、無背景)を貼付します。運転免許証表面の写しの貼付でも代用できます。
写真は本人確認のための重要な要素であり、最新の容貌を反映したものである必要があります。6ヶ月という期限を守り、適切な写真を使用することで、確実な本人確認が可能となります。
運転者で亡くなった場合(解任した場合)は、その年月日及び理由
運転者が退職、配置転換、死亡、解任などで運転者でなくなった場合、その年月日と理由を記載します。この記録により、運転者としての在籍期間と離任の経緯が明確になります。
離任の理由を記録しておくことは、労務管理上も重要です。退職理由や配置転換の経緯を把握することで、今後の人材管理や安全対策に活かすことができます。
運転者台帳の保管期限
運転者台帳の保存期間は原則として3年間です。これは運転者が退職、転任、死亡などで運転者でなくなった後も同様に3年間保存する必要があります。
保管は紙媒体でもデータ(電子ファイル)でも可能ですが、適切な更新・参照ができる状態で保存することが求められます。電子データで保管する場合も、バックアップを取るなど、データの消失を防ぐ対策を講じておきましょう。保存期間を守ることは法令遵守の基本であり、監査時にも重要な確認項目となります。
運転者台帳の電子化は可能?
運転者台帳は、所管法令が定める「書面の保存・備置」の趣旨を満たす前提で、電磁的記録(クラウド等)により管理・保存できます。根拠として、国土交通省令第26号(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則)が、書面の作成・保存を電磁的記録に代替する枠組みを定めています。ですので、記載項目の完全性、改ざん防止や履歴の担保、求めに応じ「即時に出力・提示できること」を満たす電子化であれば、実務上の要件を満たしやすくなります。
営業所での備置と一定期間の保存が求められる
電子化の可否とは別に、運転者台帳は「運転者ごとに作成し、当該運転者が属する営業所に備え置く」ことが義務づけられています。また、運転者が転任・退職等で運転者でなくなった場合には、その年月日・理由を直ちに記入し、台帳を3年間保存します。電子台帳であっても、営業所での即時提示性(必要なときにその場で閲覧・印字できる状態)を確保する設計が重要です。
紙が必要になるケース
法令上は電磁的記録での保存が可能ですが、巡回指導・監査や取引先から紙での提出を求められる場面は少なくありません。実務では「いつでも印刷・提出できる体制」を前提に、事前に一括PDFや提出用ZIP(PDF/CSV/添付エビデンス)を用意しておくと、当日の対応が円滑です。
運転者台帳の記載項目
運転者台帳には、次の項目を記載し、直近6か月以内に撮影した写真を貼付(または免許証面の写し等で代替可とされる運用例あり)します。とくに免許情報は、従来の「免許証番号」に加え、道路交通法に基づく免許情報記録の番号も記載対象に含まれる点が近年の改正で明確化されています。
基本情報(本人・雇用・選任)
氏名・生年月日・住所、事業者名、作成番号・作成年月日、雇入れ年月日・運転者に選任された年月日を記載します。入社・異動・転任の都度、遅滞なく更新し、後日確認できる更新履歴を残しておくと、巡回指導での説明が容易になります。
免許・資格(番号・有効期限・条件)
運転免許に関する「免許証番号又は免許情報記録の番号」「有効期限」「免許の年月日・種類」「条件」を管理します。免許更新のたびに即時反映し、更新前アラートや証跡(免許証面の写し等)を台帳と紐づけておくと、抜け漏れを防げます。
事故・違反・健康状態・指導履歴
事故の概要、違反通知の概要、健康状態、指導実施・適性診断の受診状況を記録します。発生日・内容・是正措置まで一連で残し、関連する教育・受診記録のエビデンスを添付しておくと、実地の確認がスムーズです。
顔写真(有効期限の扱い)
作成前6か月以内に撮影した顔写真を貼付します。電子化運用では、撮影日・更新履歴をフィールド化し、期限前に更新リマインドを出すことで現場負担を下げられます。
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企業ごとに3年間の保管義務
貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条では運転者台帳は3年間保存しなければならないとしています。運転者が転任、退職した場合も年月日や理由を記載した上で、3年間の保管義務が生じます。
対象となる運転者は正社員だけではありません。出向・派遣運転者やパート・アルバイトも含みます。但し、第3条において日雇いや2ヵ月以内の期間を定めて雇用される者、試用期間中は一般貨物自動車運送事業等の運転者に選任できないとしています。
運転者に事故や違反があった場合や、運転免許証の更新などの変更があった場合は直ちに記載する必要があります。そのため運転者が多い運送会社は運転者台帳の管理業務だけでもかなりの負担がかかります。
監査・巡回指導に強い電子台帳の運用設計
電子化の価値は、日常の更新容易性に加え、いざという時の「即応性」にあります。以下は、巡回指導・監査で問われやすい観点を踏まえた設計の要点です。
即時出力の体制
営業所ごと・在籍区分ごとの定義済みフィルタで台帳を絞り込み、個別/一括PDFを即時生成できる状態にしておきます。提出先の要望に応じ、PDF/CSV/添付エビデンスをまとめた提出用ZIPをワンクリックで作れる運用にしておくと、当日対応が迅速です。
権限設計と監査ログ(証跡)
「閲覧のみ/編集可/出力可」を役割別に設定し、誰が・いつ・何を更新したかが追える監査ログを保持します。差分比較(前回値)や承認フローを備えると、是正指導時の説明や原因追跡が確実になります。
拠点横断の「備置」をどう満たす?
「営業所に備置」の趣旨を満たすため、各営業所には即時提示できる閲覧・印刷手段を置き、本社は横断モニタリングに徹する二層構造が有効です。電子台帳であっても、現場で必要な台帳をその場で出せることが大切です。
バックアップ/改訂履歴/DR(災害対策)
世代管理(例:日次・週次・月次)でバックアップを行い、復旧手順書を整備します。年1回程度のテスト復旧を実施し、改訂履歴の保存期間や証跡の扱いを社内規程に明記すると、継続的なリスク低減につながります。巡回指導では、保存や整備状況が確認されるため、平時からの体制づくりが効果的です。
運転者台帳をデジタル化することのメリット
運転者情報が探しやすくなる
紙書類によるアナログ管理による運転者台帳は、ドライバーが多い運送会社では膨大な量となり情報を確認したいときに探し出すのが大変です。デジタル化すると検索・絞り込みが容易にできるようになり探しやすくなります。
内容変更の際に編集が楽になる
運転免許等の更新時はもちろん、事故や違反発生時、転任や退職した運転者まで記載が必要になるため、紙書類の管理だと煩雑になり記載ミスも発生しやすくなります。デジタル化すれば画面を確認しながら編集できて楽になります。
ペーパーレス化で保管スペース不要
電子帳簿保存法など業務処理のペーパーレス化が進んでいます。そのメリットは紙・印刷代などのコスト削減と保管スペースが不要になること。これは運転者台帳にも当てはまりデータ化することでファイリングや保管場所は必要なくなります。
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アネストシステムのBSSの社員台帳には、乗務員の基本情報をはじめ、雇用形態や免許証など、社員の情報を登録が可能。また、免許証の更新期限や講習期限が迫ると通知を出し、更新漏れ等を防ぐことができます。また有給取得日数の不足も通知し、健康経営にもつなげることができます。
主な管理機能
- 乗務員基本情報管理
- 雇用形態
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- 保険関連情報管理
- 適性診断履歴管理(乗務員)
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主な通知
- 免許更新の期限の通知
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画像引用元:株式会社アネストシステム(https://bss-cloud.info/bss-cloud/)
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