ここでは運送業に記載が求められている運転者台帳についてまとめました。運転者台帳に記載する対象者や記載項目、保存期限などについて解説。また運転者台帳のデジタル化メリットについてもご紹介します。
運転者台帳の電子化は可能?
運転者台帳は、所管法令が定める「書面の保存・備置」の趣旨を満たす前提で、電磁的記録(クラウド等)により管理・保存できます。根拠として、国土交通省令第26号(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則)が、書面の作成・保存を電磁的記録に代替する枠組みを定めています。ですので、記載項目の完全性、改ざん防止や履歴の担保、求めに応じ「即時に出力・提示できること」を満たす電子化であれば、実務上の要件を満たしやすくなります。
営業所での備置と一定期間の保存が求められる
電子化の可否とは別に、運転者台帳は「運転者ごとに作成し、当該運転者が属する営業所に備え置く」ことが義務づけられています。また、運転者が転任・退職等で運転者でなくなった場合には、その年月日・理由を直ちに記入し、台帳を3年間保存します。電子台帳であっても、営業所での即時提示性(必要なときにその場で閲覧・印字できる状態)を確保する設計が重要です。
紙が必要になるケース
法令上は電磁的記録での保存が可能ですが、巡回指導・監査や取引先から紙での提出を求められる場面は少なくありません。実務では「いつでも印刷・提出できる体制」を前提に、事前に一括PDFや提出用ZIP(PDF/CSV/添付エビデンス)を用意しておくと、当日の対応が円滑です。
運転者台帳の記載項目
運転者台帳には、次の項目を記載し、直近6か月以内に撮影した写真を貼付(または免許証面の写し等で代替可とされる運用例あり)します。とくに免許情報は、従来の「免許証番号」に加え、道路交通法に基づく免許情報記録の番号も記載対象に含まれる点が近年の改正で明確化されています。
基本情報(本人・雇用・選任)
氏名・生年月日・住所、事業者名、作成番号・作成年月日、雇入れ年月日・運転者に選任された年月日を記載します。入社・異動・転任の都度、遅滞なく更新し、後日確認できる更新履歴を残しておくと、巡回指導での説明が容易になります。
免許・資格(番号・有効期限・条件)
運転免許に関する「免許証番号又は免許情報記録の番号」「有効期限」「免許の年月日・種類」「条件」を管理します。免許更新のたびに即時反映し、更新前アラートや証跡(免許証面の写し等)を台帳と紐づけておくと、抜け漏れを防げます。
事故・違反・健康状態・指導履歴
事故の概要、違反通知の概要、健康状態、指導実施・適性診断の受診状況を記録します。発生日・内容・是正措置まで一連で残し、関連する教育・受診記録のエビデンスを添付しておくと、実地の確認がスムーズです。
顔写真(有効期限の扱い)
作成前6か月以内に撮影した顔写真を貼付します。電子化運用では、撮影日・更新履歴をフィールド化し、期限前に更新リマインドを出すことで現場負担を下げられます。
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企業ごとに3年間の保管義務
貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条では運転者台帳は3年間保存しなければならないとしています。運転者が転任、退職した場合も年月日や理由を記載した上で、3年間の保管義務が生じます。
対象となる運転者は正社員だけではありません。出向・派遣運転者やパート・アルバイトも含みます。但し、第3条において日雇いや2ヵ月以内の期間を定めて雇用される者、試用期間中は一般貨物自動車運送事業等の運転者に選任できないとしています。
運転者に事故や違反があった場合や、運転免許証の更新などの変更があった場合は直ちに記載する必要があります。そのため運転者が多い運送会社は運転者台帳の管理業務だけでもかなりの負担がかかります。
監査・巡回指導に強い電子台帳の運用設計
電子化の価値は、日常の更新容易性に加え、いざという時の「即応性」にあります。以下は、巡回指導・監査で問われやすい観点を踏まえた設計の要点です。
即時出力の体制
営業所ごと・在籍区分ごとの定義済みフィルタで台帳を絞り込み、個別/一括PDFを即時生成できる状態にしておきます。提出先の要望に応じ、PDF/CSV/添付エビデンスをまとめた提出用ZIPをワンクリックで作れる運用にしておくと、当日対応が迅速です。
権限設計と監査ログ(証跡)
「閲覧のみ/編集可/出力可」を役割別に設定し、誰が・いつ・何を更新したかが追える監査ログを保持します。差分比較(前回値)や承認フローを備えると、是正指導時の説明や原因追跡が確実になります。
拠点横断の「備置」をどう満たす?
「営業所に備置」の趣旨を満たすため、各営業所には即時提示できる閲覧・印刷手段を置き、本社は横断モニタリングに徹する二層構造が有効です。電子台帳であっても、現場で必要な台帳をその場で出せることが大切です。
バックアップ/改訂履歴/DR(災害対策)
世代管理(例:日次・週次・月次)でバックアップを行い、復旧手順書を整備します。年1回程度のテスト復旧を実施し、改訂履歴の保存期間や証跡の扱いを社内規程に明記すると、継続的なリスク低減につながります。巡回指導では、保存や整備状況が確認されるため、平時からの体制づくりが効果的です。
運転者台帳をデジタル化することのメリット
運転者情報が探しやすくなる
紙書類によるアナログ管理による運転者台帳は、ドライバーが多い運送会社では膨大な量となり情報を確認したいときに探し出すのが大変です。デジタル化すると検索・絞り込みが容易にできるようになり探しやすくなります。
内容変更の際に編集が楽になる
運転免許等の更新時はもちろん、事故や違反発生時、転任や退職した運転者まで記載が必要になるため、紙書類の管理だと煩雑になり記載ミスも発生しやすくなります。デジタル化すれば画面を確認しながら編集できて楽になります。
ペーパーレス化で保管スペース不要
電子帳簿保存法など業務処理のペーパーレス化が進んでいます。そのメリットは紙・印刷代などのコスト削減と保管スペースが不要になること。これは運転者台帳にも当てはまりデータ化することでファイリングや保管場所は必要なくなります。
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アネストシステムのBSSの社員台帳には、乗務員の基本情報をはじめ、雇用形態や免許証など、社員の情報を登録が可能。また、免許証の更新期限や講習期限が迫ると通知を出し、更新漏れ等を防ぐことができます。また有給取得日数の不足も通知し、健康経営にもつなげることができます。
主な管理機能
- 乗務員基本情報管理
- 雇用形態
- 免許証管理
- 保険関連情報管理
- 適性診断履歴管理(乗務員)
- 講習期限管理(運行管理者)
主な通知
- 免許更新の期限の通知
- 運行管理者の一般講習期限の通知
- 指導教育スケジュールを入力の通知
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画像引用元:株式会社アネストシステム(https://bss-cloud.info/bss-cloud/)
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