トラック運転者の高齢化

高齢化

ここではトラックドライバーが抱える高齢化問題についてリサーチ。実際にトラック運送業に従事している人の年齢層割合や今後も安心して働き続ける環境をつくるにはどうしたらよいのかについて解説しています。

目次

トラックドライバーの高齢化の現状

経済産業省・国土交通省・農林水産省が2022年にまとめた資料によると道路貨物業で働く年齢層は40~54歳が45.2%で若年層と言われる15~29歳までが10.1%、65歳以上は9.5%となっています。

全産業平均は40~54歳は34.7%、15~29歳までが16.6%ですので、トラックドライバーは中高年層が多く、若年層が少ない傾向にあると言えるでしょう。65歳以上は全産業に比べて少ないですが、これは高齢になると続けるのが難しいからと考えられます。

現状だけで見ると中高年層ががんばっているおかげで道路貨物業は成り立っていますが、現在の若年層が1割程度ということから、20年後を考えるとかなり危機的な状況にあると言えます。

少子高齢化により、若年層の労働力が全産業的に不足しています。道路貨物業では、若年層の割合が低く、将来的にトラックドライバーの担い手が増えることは考えにくいでしょう。 したがって今のうちに打開策を講じることが必要です。

※参照元:(PDF)経済産業省HP「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/sustainable_logistics/pdf/001_02_00.pdf

高齢ドライバーが抱える問題

トラックドライバーが高齢になると避けて通れない問題として体力の衰えがあります。筋力が低下したり関節が硬くなるなど、いわゆる老化現象は誰にも起きることでトラックドライバーに限ったことではありません。

しかしトラックドライバーは荷物を運んだり、長時間運転など体力勝負の部分も大きく、仕事を続けるのがしんどいと感じるでしょう。また体力以外でも認知機能の低下により、判断力が衰え、運転自体が困難になることもあります。

高齢者ドライバーによる、アクセルとブレーキの踏み間違いや、高速道路を逆走するなどの危険運転に関するニュースは毎日のように報道されています。そこには運転技術だけでは解決できない問題があります。

高齢者トラックドライバーの中には定年退職して第二の人生を歩む人もいますが、人員不足から退職者を再雇用するケースも増えています。働きたい人が安全にトラックドライバーを続けるためには受け入れ側も環境と整備する必要があるでしょう。

高齢ドライバーに活躍してもらうには

安全対策の徹底

高齢者雇用は深刻化するトラックドライバー不足を解消するために有効ですが、同時に事故防止のための安全対策を徹底することが求められます。事故を起こしてしまうと、仕事だけでなく命を失う可能性もあるからです。

ベテランになるほど安全運転に対する意識が低下する傾向にあるため、改めて研修を行うなど運転に当たっての注意喚起や労災防止対策、車両の整備などを徹底。必要に応じて一人ひとり指導も行わなければいけません。

健康管理の強化

高齢になると体力だけでなく健康面に不安を抱えるようになります。高血圧や心臓疾患、糖尿病などの生活習慣病への対応はもちろん、加齢に伴う心身機能の衰えや、睡眠時無呼吸症候群などの対応も必要になります。

そのためには日々の健康管理を徹底し、健康診断や人間ドック受診を促進するなど会社全体で取り組む姿勢を見せることが重要です。また定期的に運転者適性診断を実施するなどドライバー自身の意識が高まる環境を整えます。

負荷の軽減

トラックドライバーがいくら不足していると言っても無理をさせるようなことは控えなければいけません。心身機能はドライバーによって個人差が大きいですが、特に高齢になると疲れやすくなり精神的にも不安定になりがちです。

そのため高齢ドライバーに対しては運行時間の短縮や大型車から普通車への変更など、できるだけ負荷を軽くするように調整します。各ドライバーが自分の能力に合った仕事量をこなしていけば長く続けることができるからです。

仕組みづくり

高齢者を受け入れる環境整備は制度面だけでなく、全員が一体感を持てる環境づくりが求められます。高齢になると組織に属しても孤独で疎外感を持ってしまいがちです。居場所がある安心感はモチベーションアップにもつながります。

そのためには日常から高齢ドライバーに積極的に声をかけたり、社内行事の参加を奨めるなどコミュニケーションの場を提供することが大切です。賃金など経済的安定と心身的安定の両面を支える仕組みづくりが求められます。

運送業務のデジタル化で
高齢者にも働きやすい環境を

近年、自動運転技術など車両のハイテク化が進み安全を確保するため自動車メーカーで開発競争が激しくなっています。トラックに関してもいずれそうした流れは来ると考えられますが、運送業はトラックの運転だけではありません。

経理や給与などの業務システム化だけでなく配車業務や車両管理などのデジタル化も進んでいます。これにより業務の自動化・簡素化ができれば高齢者が苦手な手続きが簡単にできるようになり働きやすい環境を整えることにも貢献します。

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